【解説】新規集客が下がったらご覧ください。短期は危険、中長期的に集客を回復させる方法!|工務店、リフォーム会社、塗装会社編
インターネットが全てを変えました。それでも新規客集客は、会社にとって最優先事項の一つです。
そして、それ以上に重要なことがあります。
それは、せっかく集客したお客様と一瞬で縁が切れる失敗だけは避けることです。
そこで、新規客集客と出会ってからの信頼関係構築までをお伝えします。
新規集客は山あり谷あり。いいときもあれば、苦労するときもあります。
そして、同じ集客法で成功している時期は短く、工夫しながら新規集客を維持しているのが現実です。
少しの辛抱です。地域一番店の仕組みさえ出来上がれば、新規客集客に依存する必要が減るからです。
今回は、「時代が流れても変わらない新規客集客の基本」「時代とともに変化した集客ツール」、そして、「新規客集客が落ち込んだときの対策」。
この3つのテーマを、2003年からの経験をもとにお伝えします。
目次
1. 時代とともに変化した集客ツール
(1)何が変わったのか?
最も変わったことは、「顧客が選べるようになった」ことです。
50年前。靴を買うときは、市内の靴屋さんに行ったものです。おもちゃもそうでした。近くのおもちゃ屋さんで購入しました。
今はインターネットで、好きな時間に閲覧して、価格比較して、決済すると、家まで配達してくれます。
便利な世の中になりました。
(2)建築業界も同じ!
50年前は、家は近所の大工さんに建ててもらったものです。修繕も大工さんにお願いしました。
そして、約40年前、1980年代になるとリフォーム業界の先駆けが誕生しました。
彼らはメニュー型チラシで市場を拡大していったのです。その時代が15年くらい続いたでしょうか?
(3)業界地図が塗り替わった
大工さんの修繕仕事がリフォーム業界に奪われていきます。
プライドの高い元請け大工さんの仕事が減り、工務店やリフォーム会社の下請けで仕事をする時代が到来します。
一部の大工さんや建築系の職人さんの収入が下がり続けた時代だったと思います。
(4)塗装業界への予言
2005年頃。塗装業界が変わることを予言しました。
「塗装屋さんが、大工さんやリフォーム会社さんを下請けとして使う時代が来るよ」
今、そんなスタイルが増えていますよね。なぜか? インターネットの出現です。
インターネットが集客ツールとして台頭し、多くのことを変えてしまいました。
しかし、インターネットの時代になっても変わらない、集客の「型」があるのです。
2. 時代が流れても変わらない新規客集客の基本
(1)顧客が買っているもの
iPhoneがモデルチェンジされるたびに購入する人もいます。
一度購入した携帯電話を5年間使い続ける人もいます。
iPhoneが嫌いでアンドロイドを選ぶ人もいます。
お客様は携帯電話を買っているのではありません。連絡手段を買っているのです。
時計も同じです。時計の本来の価値は正確な時間を知ること。携帯電話を持っている人なら、十分に用が足ります。
個人的な意見ですが、私は腕時計が嫌いで携帯電話で代用していました。
しかし、重要な打合せ時に、携帯電話で時間を確認するのは失礼だと思い、腕時計を買いました。
300万円を超えるロレックスは、【ステータス】を買うことになる。
シャネルやカルティエなら、【オシャレ】を買うことになる。
エルメスなら【気品】を買っている。
顧客は求める価値を満たしてくれる商品・サービスを買っているのです。
ですから、商品・サービスを自慢すると、顧客が離れていってしまうのです。
(2)集客の極意! 顧客によって求める価値が違う
例えば、老後の生活を考えたことがありますか?
定年後にAさんは海外に移り住みたいと考えています。
Aさんと仕事をしたいなら、海外の不動産情報提供サービスにチャンスがありそうです。
Bさんは定年後、田舎でのんびり暮したいと考えています。
Bさんとビジネスするなら、国内の不動産情報サービスが良いでしょう。
子育てが終わったCさんは定年後、自宅を売却して、夫婦二人で暮らせる介護施設が併設されているマンションを探しています。
子育てが終わったDさんは定年後、夫婦の趣味に没頭したいと考え、自宅の大改造を考えています。
センスのいいリフォーム会社を探しています。
Aさん? Bさん? Cさん? Dさん?
あなたは、どのお客様と商売をしますか?
集客が下がった理由、それは顧客ターゲットが合わなくなったからです。
「強み」を活かした戦略を練ってください。
ライバルとの競争は避けられませんが、誰にも負けない差別化をしてください。
差別化とは、どの顧客を選ぶのか? ということです。
(3)「強み」でしか成功できない
一つひとつの会社に「強み」があり、それを土台にして集客戦略を練ります。
もし、「強み」という個性がなければ、顧客は会社を選ぶことができません。
ということは、強力なライバル会社にでも、「強み」を活かした部分に関しては勝てるということです。
以下は、それぞれの「強み」を活かして地域No.1になった会社のUSPです。
「狭小地のお手本住宅」「共働きの女性建築士と一緒に建てる」「100人100通り。家族と共に成長する家」で成功した工務店さんたち。
「住み続けるほど家族への想いが深まるリフォーム」「代替機で今すぐお湯が使えるようになります」「一度の工事からお付き合いは一生」で成功したリフォーム会社さんたち。
「一期一会。子ども、孫の世代まで残したい塗替え」「家族の笑顔が続く塗装工事」「お客さまのお子様から塗装職人になってみたい! と言われる工事」で成功した塗装会社さんたち。
このように「強み」が見つかれば、顧客にとって魅力的なコピーで集客することができるのです。
それも、ライバルと競合になることが減ります。
なぜならば、一つひとつ異なる「強み」に惹きつけられた新規客が集まるからです。
(4)時代が流れても変わらない集客の土台
インターネット上で十分に情報が取れる時代になり、初回面談から契約までの時間が早くなりました。
ですから、ホームページの質が大きな違いを生みます。
(5)少しの辛抱
地域一番店の多くは、OB客様のリピート、紹介、口コミで売上が安定します。足りない部分を新規集客に委ねます。
地域一番店の中には、OB様からの売上割合が90%を超える基盤を持っている会社もあります。
だから、新規客の集客が減っても焦ったりすることが少ないのです。
そうです。OB様の基盤が弱い間は、試行錯誤の繰り返しになります。
新規客集客に苦労し、暗中模索になることもあるでしょう。
そして、そこから這い上がってくる方もいれば、停滞したままで低空飛行の方もいます。
短期間でOB様中心のビジネスモデルを確立する方もいれば、時間がかかり過ぎる方もいます。
(6)新規客を集客する最高のツール
OB客様のリピート、紹介、口コミを増やすことが売上を安定させるコツです。
そうです。売上と新規客を獲得する最高のツールは、顧客の期待を上回る商品・サービスを提供することです。
商品・サービスを提供した後のアフターサービスがOB客様のリピートという売上を増やし、紹介、口コミを増やす最高の新規客集客ツールなのです。
3. 新規客集客が落ち込んだときの対策
(1)常道:OB様に手紙を出す
釈迦に説法ですね。
私どもは2003年から、建築業界特化型でコンサルティングサービスを提供してまいりました。
その経験上、会社の売上に一番貢献してくれるのは既存の顧客であるOB様です。
ですから、新規客集客が落ち込んだら、まずはOB様へのアプローチを検討してください。
そして、理想であれば、新規集客が落ち込む前から、OB様をフォローする予算を検討してください。
(2)現場近くにポスティングする
もし進行中の現場があれば、近隣にポスティングをしましょう。
できれば4回。施工予定の1週間前、施工直前、施工中(工期が長ければ2回ほど)、施工後。
顧客が新築、リフォーム、塗り替えを考えるとき、既に決まった会社あればチャンスはありません。
そこで、依頼したい建築会社を顧客が分からないとき、新規客集客のチャンスが訪れます。
だからこそ、現場まわりにポスティングをして、誠実な会社であることを意識づけしましょう。
知り合いの会社がない顧客から、高確率で問い合わせがくる傾向があります。
(3)「人」を売るホームページにする
低価格だけの戦略は避けましょう。小さな会社の必勝法は、「人」で差別化することです。
成功するホームページには、3つの共通点があります。
①顧客の心を揺さぶる社長挨拶
②会社を設立した創業物語
③「強み」を活かしたUSP
この3つでライバルと差別化しましょう。すると、ライバルと比較されるほど選ばれやすくなります。
(4)SNSを試す。注目はTwitter
Facebookが圧倒する時代が過ぎ去り、Instagram集客も下火になりつつあります。
そこで、注目のSNSがTwitterです。
Twitterのユーザー数は右肩上がりで着実に増えています。検討していただければと思います。
なお、LINEは様子を見てください。
LINEをメール代わりの連絡手段で利用するのは便利です。絶対に欠かせない連絡ツールです。
しかし、建築会社の広告媒体とLINEの相性は、イマイチと言っていいでしょう。
(5)集客はトライ&エラーの繰り返し
集客は社長が責任を負う仕事。
そして、他の仕事と同様、失敗を繰り返し試行錯誤しながら成功に導く、トライ&エラーの連続です。
苦労することなく新規客集客が成功することはありません。
時代の流れを読み取り、試行錯誤を楽しみましょう。
集客の苦しみを楽しむことが経営の醍醐味の一つです。
4. せっかく集客したお客様と一瞬で縁が切れる失敗を避ける
(1)出会ってからの信頼関係構築
85歳になる母がはじめて入院しました。
入院するとき、感じの良い医師と看護師さんに見守られて、家族から離れて入院病棟に入っていきました。
見送った妻は「いい先生と看護師さんで安心だわ…」と教えてくれました。
1カ月後、元気に退院してきた母は、私にお土産話をしてくれました。
「看護師さんによって全然違うんだよ。
入院患者のペースでご飯を食べさせてくれる看護師さんがいる。
スプーンを無理やり入院患者の口の中に押し込む看護師さんもいる。
看護師さんによって、全然違うんだよ…」
インターネットが全てを変えました。
だけれど、変われないところがあります。そうです。人と人の触れ合いです。
顧客との信頼関係を損なうリスクがそこにあります。
- ネットからの問い合わせに、個別に対応をしていますか?
- ネットからの問い合わせに、迅速に対応していますか?
- 顧客からの問い合わせに対して、期待を超える対応をしていますか?
集客の主役はインターネットに移りました。しかし、契約までの主役は「人」なのです。
だからこそ、ホームぺージでは「人」を売ることが大切なのです。
まとめ:新規客集客を増やす
(1)外に出て時代の流れを観察する
新聞折込チラシが集客を凌駕していた時代が終焉しました。
その後、ホームページ、SNSと主力の集客ツールが移り変わっています。
社会の変化を感じましょう。
社会が変わっても変わらない、不変の法則を確認しましょう。
そして、新規客集客の試行錯誤を楽しむ勇気を持ちましょう。
(2)中長期的視点
今すぐ新規客を集めたければ、自社の顧客ターゲットの間口を広げて広告費をかければ成功するかもしれない。
だけれど、集客した顧客と契約できる保証はない。目先のことだけを考える短期的な視点だけでは危険です。
短期と長期の集客計画を立てましょう。
1年間で必要な新規客数、OB客のリピート見込み、紹介・口コミ見込みの計画を立てましょう。
次に10年後の新規客数、OB客のリピート見込み、紹介・口コミの中長期計画を立てましょう。
一般的に、会社の規模を大きくしなければ、年ごとに新規の集客数は少なくなります。
中長期的な視点での計画がないと、どんなに集客しても満足することができません。計画に沿って行動しましょう。
(3)顧客から聞くだけでは不十分。顧客を観察する
新規集客のヒントは、顧客が持っています。しかし、顧客に聞くだけでは不十分です。
顧客は、自分が欲しいものを言葉にできないことが普通だからです。
家を塗り替えするおじいちゃんが、「嫁に行ってしまった一人娘が戻ってくる場所を残しておきたい」と教えてくれるでしょうか?
家をリフォームする奥様が、「主人の意見を尊重して建てた家だけれど、使い勝手が悪くて早くリフォームしたかった」と言うでしょうか?
注文住宅を建てる共働きの奥様が、「休みの日には家でゆっくりしたい。主人の親には家に遊びに来てほしくないから、余計な部屋は作らないでほしい」と率直に教えてくれるでしょうか?
家づくり、リフォーム、塗り替え。顧客が言葉にしない、言葉にできないニーズや動機を知っているでしょうか?
建前で話してくれる顧客の話を聞くだけでは、上辺のニーズや動機しか確認できません。
社員との会話、恋愛、子育て、相手の言葉が本音ではないことを感じることがあるでしょう。
だからこそ、顧客の話を聞くだけでは不十分です。顧客を観察して、顧客の言葉・期待を超えるレベルで集客しましょう。
社員には難しい仕事です。会社全体の成果に責任を持つ社員、および、社長にしかできない仕事です。
顧客を観察してください。
大切なことなので繰り返します。
新規集客のヒントは、あなたの目の前にいる顧客が持っているのです。
著者:椎名 規夫(しいな のりお)
住宅・リフォーム販促情報局 代表 株式会社エムディー 代表取締役社長 経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長講演実績:日本郵便(株)、三井住友海上保険会社、中部電力、日本M&Aセンター、(株)船井総合研究所、(株)三洋堂書店、日本創造研究所、(独)教職員支援機構、中央労働災害防止協会:大阪安全衛生教育センター、(財)日本品質保証機構、(福)名古屋市社会福祉協議会、東京都教育委員会指定道徳授業地区公開講座、川口市労使講座、長野商工会青年部、静岡県清水建設業協会青年部、千葉県宅地建物取引業協会松戸支部研修、(社)常総青年会議所コミュニケーション研修など、多数。 ・全国6万社が加盟する中央労働災害防止協会でコミュニケーション研修担当 ・独立行政法人教職員支援機構で全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング研修担当 ・労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当 |