社長しかできない仕事。社員が可能な仕事。
会社は少しずつ成長しない。
規模の変化は、連続的な変化ではなく、
ある一定点で跳躍的な変化を起こすことを意味する。
P.F.ドラッカー
株式会社森住建の森浩幸社長のSNSの投稿です。
新しいチャレンジにワクワクしているようです。
家族、特にお母さまからは「もうここまで来たから無理するな」と心配されているようです。
しかし、ビジョンを持つ森社長を止めることはできない。
社長にしかできない仕事がいくつかあります。
そして、社長しかできない仕事には基本的なルールがあります。
今日と未来のバランスをとること。
成果に向けて人材と資金の配分をすること。
組織全体を見て、全体に関わる意思決定をすること。
社長しかできない仕事その1
なぜ、森社長は大きなチャレンジに挑んでいるのか?
それは、明日の為の意思決定を果たしたのです。
今のままでは、育ててきた社員をもっと幸せにできないと考えたのでしょう。
森社長は、自分のエゴの為に社運をかけるような無茶な男ではありません。
社長しかできない仕事その1。
それは、組織のミッションを考えることです。
それによって、目標の設定。戦略と計画。社員に働く意欲が提供できるのです。
数年前、ある会社で中堅社員の離職が続いたことがありました。
その社員さんに理由を聞くと、
「会社のビジョンが見えなくて、失望して辞めた」と教えてくれました。
そして、それが弊社でも起こりうる問題だと気付きました。
どんな社員だって、会社に100%満足はしていないでしょう。
誰にでも不満はあるはずです。
だからこそ、社長はビジョンを明確に描き、未来を信じて社員と共に今を生きていくのです。
社長しかできない仕事その2
森住建さんには、明確な仕事の基準がある。
お客様第一主義であることは当然だが、
お客様の要望を叶える仕事の基準が、かなり高く設定されている。
弊社のクライアントである、予約が2か月先までいっぱいの整骨院さんも同じです。
25分、6,480円で産後の骨盤矯正の施術をサービスしている。
通常の2倍以上の価格でサービスを提供しているのに、予約でいっぱいになっている。
その理由は、森住建さんと同じで、高い仕事の基準を設けているからです。
どのレベルで仕事を提供するのか?
高い仕事の基準を設定するのは、社長しかできない仕事の一つです。
社長しかできない仕事その3
今回、森住建さんは本社を岐阜市に移す。
昨年は、関支店をオープンさせて、早くも軌道に乗せています。
先日、森住建さんの本社にお邪魔しました。
すると、営業部長さんが顔を出して挨拶してくれました。
私は森社長に「営業部長は支店の店長ではありませんでしたか?」と尋ねました。
すると、森社長は、
「あの支店は軌道に乗ったので、部長は本社で後進の育成に携わっています」
社長しかできない仕事その3は、組織を作り上げることです。
そして、それを維持していく役割です。
そのためには、明日を担っていく人材を育てることが大切です。
森住建さんは、規模の割にはスタッフの数が多いと言われていました。
森社長もそれを自ら認めていました。
そして、次のような想いを語ってくれました。
「今のままで成長しないのならば、森住建のスタッフの数は多すぎるでしょう。
しかし、明日を背負っていく人材を育てなければ、会社は成長しません」
社長しかできない仕事その4
森住建さんが岐阜市の一等地に本社を構える。
その交渉は社員には任せられないでしょう。
社長にしかできない仕事その4は、渉外の役割です。
顧客や取引先の関係。
金融機関や行政、協力会社との関係。
この様な関係が事業に大きな影響を与えます。
社長しかできない仕事その5
地元で活躍する建築会社さんたちは、ライオンズ、ロータリー、商工会活動に大忙しです。
私はそれらのお付き合いが苦手なので、弊社では専門の担当者に任せています。
今回、ものづくり補助金の申請が通り、1,000万円近い事業を進めることになった。
すると、その手続きのために、会社から2名以上の出席が義務付けられる。
社長にはお付き合い、儀礼的に付き合わなければならない役割がある。
特に、地域で業績を上げている小企業の社長は、こういった役割を逃れられないでしょう。
社長しかできない仕事その6
長くお付き合いしているお客様で、ある地域NO.1の会社の例です。
2年前、マルサに入られて、脅されるように課税させられました。
その額は、数千万円。
重大な危機には、社長が自ら取り組むしかありません。
重大な危機に対しては、最も経験があり、
最も賢明で、最も秀でた経験豊かな者が担当します。
つまり、社長が担当しなければならないのです。
社長しかできない仕事の定義
社長しかできない仕事の定義は何か?その答えはありません。
P.F.ドラッカー氏の言葉を借りてお伝えするとしたら、
社長の仕事は「組織の成功と存続にとって決定的に重要な意味を持ち、
かつトップマネジメントだけが行いうる仕事は何か?」です。
そして、「事業全体を見ることができ、
今日と明日のニーズをバランスさせることができ、
最終的な意思決定をなす者だけができるものは何か?」
理想的な社長とは、組織全体にとって適切なこと、必要なことを行える存在です。
会社は、ある時飛躍的に成長する。
会社は、社長の意思決定により、あるタイミングで飛躍的に成長する。
10万人の商圏のニッチ市場で成功するのが、一番望ましい姿なのかもしれない。
ドラッカー氏もそのように説いています。
しかし、会社の規模を成長させたいのであれば、
ミッションとビジョンで規模を創造することが大切である。
創造できなければ、組織はその方向に向かうことができないのです。